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太宰治「人間失格」 ~ 再読で気が付く事もある


何気なく青空文庫を見回って、太宰治「人間失格」を再読しました


太宰治 人間失格 - 青空文庫
https://www.aozora.gr.jp/cards/000035/files/301_14912.html


太宰治は、これを脱稿した1ヶ月後の6月13日に山崎富栄と共に玉川上水で入水自殺しています





ざっくりと言えば

東北の金満家の末息子で、子供の時から気が弱く、人を恐れているが、その本心を悟られまいと道化を演じる「大庭葉蔵」という一人の男性が、食べる事にもお金にも不自由しない事で、生きる意味を理由を考える事も無く、目的も無く選択もせずに言われるまま生きた人生です

道化を演じ、犯罪に巻き込まれても何も判断が出来ず、女に翻弄され、薬に溺れ、脳病院に入れられて、初めて自分は狂っていないと気が付くのです

「第一の手記」は、大庭による自分への自虐

「第二の手記」から三人称となり、悪友・堀木が登場し、堀木にタバコや女遊び、また左翼思想を覚えさせられ、心中未遂など自堕落な生活を送る

「第三の手記」では、孤独に陥り、アルコール・モルヒネ依存となり体を壊す事になり、喀血後、堀木から「病院に行こう」と勧められ脳病院に入れられ廃人となった自分に気が付く


『「いや、もう要らない」

 実に、珍らしい事でした。すすめられて、それを拒否したのは、自分のそれまでの生涯に於いて、その時ただ一度、といっても過言でないくらいなのです。

 自分の不幸は、拒否の能力の無い者の不幸でした。すすめられて拒否すると、相手の心にも自分の心にも、永遠に修繕し得ない白々しいひび割れが出来るような恐怖におびやかされているのでした。けれども、自分はその時、あれほど半狂乱になって求めていたモルヒネを、実に自然に拒否しました。ヨシ子の謂わば「神の如き無智」に撃たれたのでしょうか。自分は、あの瞬間、すでに中毒でなくなっていたのではないでしょうか。
 
けれども、自分はそれからすぐに、あのはにかむような微笑をする若い医師に案内せられ、或る病棟にいれられて、ガチャンと鍵かぎをおろされました。脳病院でした。
 
女のいないところへ行くという、あのジアールを飲んだ時の自分の愚かなうわごとが、まことに奇妙に実現せられたわけでした。その病棟には、男の狂人ばかりで、看護人も男でしたし、女はひとりもいませんでした。
 
いまはもう自分は、罪人どころではなく、狂人でした。いいえ、断じて自分は狂ってなどいなかったのです。一瞬間といえども、狂った事は無いんです。けれども、ああ、狂人は、たいてい自分の事をそう言うものだそうです。つまり、この病院にいれられた者は気違い、いれられなかった者は、ノーマルという事になるようです。
 
神に問う。無抵抗は罪なりや?
 
堀木のあの不思議な美しい微笑に自分は泣き、判断も抵抗も忘れて自動車に乗り、そうしてここに連れて来られて、狂人という事になりました。いまに、ここから出ても、自分はやっぱり狂人、いや、癈人はいじんという刻印を額に打たれる事でしょう。
 
人間、失格。
 
もはや、自分は、完全に、人間で無くなりました。』



成人しても社会に適応できず、法律や倫理に反する行動をとり、最終的に人々から「人間失格」の烙印を押させてしまうという展開です

「自分は人間ではないので、人間の不幸も幸福もないのだ」と

「一切は、過ぎてゆく」だけの事だとして告白が終わっています


人生を達観した視線で見ている感じがします

不幸が無いから、幸福がどんなものかも感じられなかったんでしょうね

自分の意思を持たないまま、周りに流されて生きる事が罪なのか?

生かされているという事だけでも感じられたら、恥でも何でもない、自分なりの答えや行動が出来たのでしょうか?

他人に自分の本性を隠し続ける恐怖と孤独が、判断を迷わせるのでしょうかね

自分が見て感じて選択して生きる事が、どれだけ難しいのかと考えさせられました



読むのが面倒だという方に

太宰治「人間失格」(ラジオドラマ)

https://www.youtube.com/watch?v=5k7W_jrbLn4

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